Yamagata

繁殖の記録を残そう

この季節、さえずりやエサ運びなど繁殖に伴う行動を観察する機会が増えてきます。鳥類をはじめ、生きものにとって繁殖は子孫を残すという重要な意味をもちます。鳥やその生息環境を保全するために、それぞれの環境でどんな鳥類が繁殖しているかという記録は重要です。

eBirdでは、観察した鳥を記録する際に、「繁殖コード」を入力することで、繁殖の可能性を記録することができます。日本野鳥の会では、他のNGOや環境省生物多様性センターと協力して、2016年から5年間「全国鳥類繁殖分布調査」を行なっており、将来的にはeBirdのデータも繁殖分布調査に活用したいと考えております。

繁殖コードの記録方法をご紹介しますので、ぜひ皆さまもこうした行動を見た際には、記録を残してみてください。

繁殖・行動コードとは

アプリ「eBirdモバイル」から投稿する場合

eBirdのモバイルアプリで種名をクリックすると、画面の下に「繁殖コード」と表示されます。「繁殖コードの追加」をタップすると、24個の丸いアイコンが現れます。

アイコンをタップすると、日本語の説明が表示されるので、該当するものを選択してください。

(※Android版のモバイルアプリについては、現在、アイコンの説明の修正を依頼中で、一部表現が異なるものがあります。アイコンの説明は、この記事の最後の一覧をご覧ください。)

最初のアイコンは、「F 上空通過」です。鳥類はその生息環境以外でも上空を通過します。例えば、林の上空をハクチョウが通過するような場合です。その環境を利用していない鳥を区別する際にこのコードを使用します。その次の「H 繁殖に適した環境にいる」以降順に繁殖の確からしさが高くなります。

繁殖に関する行動を複数見た際には、そのうち最も繁殖の可能性が高いと思われる行動のコード(後に出てくるもの)を選択してください。

ウェブサイトから投稿する場合

リストに個体数を入力し、種名の隣の「詳細の追加」をクリックすると、「データの追加」の項目に「繁殖コード」が表示されます。「繁殖コード」をクリックし、モバイルアプリと同様に、該当するものを選択してください。

繁殖に関する行動を複数見た際には、そのうち最も繁殖の可能性が高いと思わる行動のコード(上に出てくるもの)を選択してください。


以下に、コードの選択肢について解説します。

繁殖・行動コードの一覧と解説(eBirdモバイルでの表示順)

上空通過:全ての個体が飛んでいる時のみ使用する。一羽でもとまっていたり、採餌しているなど、その環境を利用している場合は使用しない。その環境を利用しているかどうか判断できない場合も、使用しない。
繁殖に適した環境にいる
さえずっている
1週間以上同じ場所でさえずっている
少なくとも7羽以上のさえずる個体がいる
繁殖に適した環境につがいがいる
縄張りの防衛行動
求愛給餌、ディスプレイや交尾
巣があるらしい場所(樹洞や崖の穴など)に出入りしている
興奮したり、警戒している行動(ただし、音声再生への反応や繁殖期以外にも見られる行動、モビングは除く)
キツツキ類の営巣(巣穴を掘っているが巣として繁殖に使うかは不明な種の場合)
抱卵斑がある
巣材運び
巣作り
擬傷行動
現在は使われていない巣(種が分かるときのみ使用、個体数は0で入力)
使われている巣(親が出入りし、抱卵を交代するなど)
巣立ったばかりのヒナがいた
親鳥によるエサ運び(求愛給餌とは区別する)
巣立ち後のヒナ(巣立ち直後でうまく飛べない)への給餌
ヒナの糞の運搬
卵のある巣を確認
ヒナのいる巣を姿や声で確認